第14回 栃木CT研究会開催 〜Finding Potential!CT検診の実力〜

第14回栃木CT研究会が、5月18日、栃木県立がんセンター(栃木県宇都宮市)で開催された。
はじめに今野雅彦氏(山形県立中央病院)が、「大腸CTの裏の裏〜基礎から実践まで〜」というテーマで講演を行った。「現在、大腸がん検診の選択肢は、内視鏡大腸検診(CF)と大腸CT検診 (CTC)の二択で、CFは2013年から安定して25万件を超えている。一方、CTC検診は2016年で3,100件、シェアは1.20%と少なく、普及への道のりはこれからである」と話した。
CTCはCFに比べて下剤の使用量が少なく(CF:2000mL、CTC:200mL )、検査時間も早い(CF:20~40分、CTC:10分)などアドバンテージがある。
さらに、再検査率の高いCTC検診はビジネスチャンスが大きい。同氏のシミュレーションによると、受診者300人がCTC検診(2.5万/1件を想定)を受けた場合に750万円の収入、加えて要精密検査の受診者のうち50%が同病院で受診した場合、CTC、CF込み(どちらも3万円/1件を想定)で675万円の追加収入を期待できるという。
今後の課題は受診者を増やすための情報発信だと見ている同氏は、地域の医師会への参加など積極的にPR活動を行ってきた。成果として、地域クリニックからCF挿入困難患者を受け入れるなど、病診連携が活発化したという。
最後に同氏は「大腸検診は、検診センターが一括して要精密検査の患者さんのリストを握っている(2017年では15万4,004人)。検診センターの保健師さんが内視鏡と並ぶ選択肢として大腸CTを認知してくれるかが普及のカギである」と語った。
つづいて萩原芳広氏(栃木県立がんセンター)が「肺がんCT検診の現状と今後について」をテーマに講演した。荻原氏は、「平成18年の厚生労働省の肺がん検診の評価は、胸部X線検査で推奨グレードがB、低線量CT胸部検査でIとされている。グレードIとは、死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分という評価である。しかし海外試験での有用性評価は高い」と話し、肺がんCT検診の国内での評価が依然として低いことを指摘する。
肺がん検診評価の指標は「死亡率減少」である。「発見率」では対象集団の有病率に左右され、「生存率」ではリードタイムバイアスとレングスバイアスの影響が出るからだ。一般的に「死亡率減少」を指標とする調査は無作為比較対照試験(RCT)が最も有効とされている。
肺がん検診におけるRCTの代表例がThe National Lung Screening Trial(米):NLSTだ。NLSTでは「低線量の胸部CTによる定期検診は、胸部X線撮影による検診より、肺がんによる死亡率が20%下がる」との結果が出ている。しかし「軽度の喫煙者や非喫煙者、若齢者など他の群でのCT検診の有用性は明らかにされていない」としている。
また、NELSON STUDY(蘭)では、重喫煙者50~75歳男女15,792名を無作為に試験群と対照群に振り分け、試験群には1、3、5年後に肺がんCT検診を行う。試験群において、男性では26%、女性では最大で61%の肺がん死亡率減少が見られたという。
国内RCTでは、厚生労働省佐川班が非喫煙・低喫煙者を対象とした低線量CT群と胸部写真群の3,000名規模の試験(JECS STUDY)がスタートしている。CT検診における肺がん死亡率低減効果を65%と推定して計画・推進中である。
日立市のコホート研究(実施継続中)の事例もある。2006年までの3万人の肺がん検診受診者をCT群(CT検診を1回以上受けた者)とX線群に分け、2012年末までの肺がん罹患率、死亡、全死亡を検討したところ、CT検診群はX線群と比較し肺がんで死亡する危険が約51%減少する結果が出ている。
このような国内外の試験の裏付けのもと、荻原氏は「肺がんCT検診の有用性が認められる日は必ず来る」と結んだ。
最後に村松 駿氏(大原綜合病院画像診断センター)が「呼吸器領域における超高精細CTの臨床応用」というテーマで講演した。同施設では2017年に超高精細CT、Aquilion Precision(キヤノンメディカルシステムズ社製)を導入。村松氏は「超高精細CTで胸部における新しい画像診断を目指す」と語った。
同機は撮影列数0.25mm×160列、チャネル数1,792ch(従来の2倍)、最大分解能が0.15mm(従来は0.31mm)を有する。収集モードSHR(Super High Resolution)での撮影が画期的。最大の1,792ch、再構成可能matixが512もしくは1,024で、x、yだけでなくz方向にも高精細な収集モードである。
使用事例としては、がんの病期分類に用いられる指標の1つであるcTNM分類の判定が挙げられる。病変径≦3㎝の場合、性状の詳細な読影が必要とされる。講演では従来CT(Aquilion ONE)画像と超高精細CT画像を比較。すりガラス型病変の同日撮影において、病変の径の大きさの測定値に1.9mmの違いが出たという。同氏は「検出機の向上によりCT値が明瞭になったと言える」と語った。
今後の挑戦は、末梢肺の描出である。同氏はmatrix size2,024、焦点サイズS2で二次小葉内の細気管支(壁の厚さ0.05~0.15mm)を描出する研究を始めているという。

今野雅彦氏

荻原芳広氏

村松 駿氏

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です