GEヘルスケアの目指すこれからの画像診断 ~診断、手技の予測、手技の効率化まで~


多田荘一郎
GEヘルスケア・ジャパン株式会社
代表取締役社長兼CEO

 

社会情勢を踏まえた弊社の役割

我が国においては、平均寿命が延伸している一方で、健康寿命との差を縮めることが課題となっています。また、国民医療費において循環器系疾患は大きな割合を占め、要介護に至る原因も循環器病が大きくなっています。つまり、健康寿命の延伸と、医療費の適正化のためには、循環器病は、まさに制圧すべき重要な疾患であり、我々も、ここに注目しています。画像診断と最も結びつきの多い冠動脈疾患ですが、待機的PCIの件数は、ここ数年で増加傾向を示す一方で、カテーテルアブレーションやTAVI、その他の弁膜症、EVTの件数は、それを上回る勢いで増加しています。このような背景を受けて、これまでとは少し異なる領域で、画像診断の活かし方を考えていかなくてはなりません。また最近では、これに高齢化が合わさり、併存疾患も増加し、治療も複雑化してきていますので、画像診断を担う弊社の役割も、大きな変化が求められていると考えています。画像診断の役割として、検査・診断・計画・治療・予後といった一連のプロセスを包括的に捉え、どのような貢献ができるのかを模索していかなければならない時期にきています。例えばこの中で、治療計画の精度を上げ ること、術中のガイダンスを的確に行うこと、治療効果測定の確度を上げることなどは画像診断の精度向上によって寄与することができ、患者さんにとって最も良い治療方法の選択、ひいては健康寿命の延伸と医療費の最適化へも貢献できるのではないかと考えています。

私たちの目指す画像診断の方向性

私たちが目指すのは、「画像診断の精度 向上」と「手技の効率化」の実現です。これまでにも、PCIにおいて、血管同士の重なりや、ハネ方、屈曲、このような動きがリアルに再現されれば、フラクチャーの発生が予測できるし、コラテラルが分かれば、CTOへのレトログレードアプローチも変わってくるが、そんなことがCTで実現できないだろうかというようなご意見が多数寄せられていました。心房細動治療においては、術前に患者さんのCTを撮影されると思います。肺静脈、それも、特に入口部近傍のリアルな動きが分かれば、リングカテーテルの留置場所と、それを囲むIsolationラインを術前にイメージしやすいというご意見がありました。他にも心室全体の動きや、ときに心筋梗塞後に起こりうる瘢痕、瘤の場所、また乳頭筋など解剖の位置関係を、リアルな動きと共に術前に把握することができれば、難治性の心室系不整脈の回路同定に必要なマッピング部位のシミュレーションが可能で、手技の効率化へつながるものと期待しています。そういう意味では、アブレーション領域においても画像診断の及ぼす影響が益々大きくなり、いわば「画像診断アブレーション」の幕開けも近いのかもしれません。さらに今後対応の必要性が増すであろうSHD分野、例 えば弁膜症の治療、EVTについても、弊社のご提供する画像診断装置の活躍するスペースがあると考えています。以下では、治療戦略上の課題解決に寄与できるようなソリューションをご紹介します。

RevolutionCTによる課題解決

弊社RevolutionCTは「Beating4D」というGE独自のテクノロジーによって、心筋のみな らず、血管のハネ方、屈曲、そしてオーバーラップまでもリアルな動きを再現します(図1、2)。 紙面でこの動きを再現できないのが残念ではありますが、カテーテルアブレーショ ン、TAVI、MitraClipなど治療に携わる先生方が、治療戦略上、この「Beating4D」をどの ように活用されるのか、大変興味があります。その可能性についても広くご意見を頂ければと考えております。

図1 冠動脈3枝と心筋の動き

図2 内腔、心臓壁、弁の動き

DiscoveryIGS730による課題解決

「手技の効率化」を実現するには、術前と術中に画像診断が与える情報と、先生方が術中に得る感覚や感触、この微妙な差を、 我々がさらに小さくする努力をしていかなければなりません。これにより、リアルな治 療を先生方に提供し、手技の精度向上・効率化に結び付くものと考えています。そのために、術前の画像診断による情報・術中の位置情報による精度、さらには、 術者を中心にカスタマイズされたオペ室のレイアウトは、術者のストレスを軽減し、治療の成功率を上げるための重要な要素と考えています。

1.術前の情報

例えば、TAVIをはじめとしたハイブリッド手術では、術前CTによる解析とプランニングが、極めて重要になってきます。これをほ ぼ自動的に解析しサポートするのが、「Valve ASSIST」です。これにより、大動脈の 血管解析と、血管の石灰化の抽出を自動で行います(図3)。

図3 術前のプランニング

2.術中の情報

弊社アンギオ装置IGSシリーズでは、CTや MRI、術中にIGSシリーズから取得した画像 情報を、透視画像に重ね合わせる(ここでは Fusionと呼ぶ)ことにより、術者へ手技の分か りやすさを提供します。精度良くFusionを実施するための一連の処理は、極めて短時間に行われ、それも術中の装置の動きに自動的に追従することで、高い精度を継続します。最近では、様々なモダリティから取得したデータと、治療に必要な周辺の機器を通じてFusionさせる機会も増えており、その位置情報による精度を高めるための議論が、これまでにも実施されてきました。なかでも透視画像は、最も正確、且つリアルタイ ムな情報を提供しているので、Fusionによって反映させる位置情報も、最も高い精度によって実現されなくてはなりません。従って、我々は、この精度を実現し、維持することに特に気を遣っています。この精度を担保しながら、弁輪位置や、自動抽出した石灰化による情報を表示し、石灰化や、デバイスを強調するために、血管壁輪郭のみを表示する技術をもって手技の効率化に貢献しようとしています(図4)。 既にTAVIの手技に使用されており、大動脈弁輪に留置するデバイスの位置決めにも使用されています。

図4 石灰化強調イメージング

3. カスタマイズの可能なオペ室

「オペ室の有効利用」という課題の解決を目指した結果生まれたのが、業界初、自ら稼働する自走式アンギオ装置Discovery IGS730です。オペ室の周囲には最新のレーザーガイドを配置し、それに従う形で稼働するため、術式に応じてカスタマイズされたレイアウトが可能です(図5)。

図5 DiscoveryIGS730退避イメージ

同時に、へパフィルタ真下にはCアームに起因する構造物が存在せず、最上級の清潔な手術空間を実現します。
次回は弊社の超音波画像診断装置についてもご紹介いたします。

OnePointComment

GEヘルスケアの目指す「画像診断の精度 向上」「手技の効率化」は我々カテ室で働く医療従事者にとって願ってやまない方向性だといえるだろう。「RevolutionCT」に搭載されている「Beating4D」というGEヘルスケアオリジナル技術は、心筋のみならず、屈曲やオーバーラップまでも忠実に再現しており非常に完成度が高い。本技術により、術前においてより手技中に得られるような感覚を取得できれば、CAやSHD などの手技向上に確実に結び付けられる。 また、「DiscoveryGS730」は、術前、術中の 情報提供に大きく貢献してくれるアンギオ装置である。具体的に述べると、ハイブリッド手術では術前CTとプランニングが極めて重要だが、「Value ASSIST」は自動的に解析しプランニングをサポートしてくれ、大動脈の血管解析と、血管の石灰化の抽出を自動で行ってくれるのも特筆すべき点である。さらに、術中に取得した画像情報を透視画像に重ね合わせることで、術者へ手技の分かりや すさを提供してくれる。すでにTAVIの手技にも多く使用され、大動脈弁輪に留置するデ バイスの位置決めにも使用されている。 画像診断の精度向上は、患者さんにとってもっとも良い治療法の選択につながる。同社のさらなる画像診断精度向上への寄与を期待したい。